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・ VOL-Netについて〜活動の記録〜
■実施日 2006年8月27日(日)午後2時〜4時半
■場所 東京ウィメンズプラザ 1階 視聴覚室
■テーマ 「乳がんと病理検査−もっとくわしく知るために−」
■講師 東京共済病院 外科部長 馬場 紀行 先生
■参加者数 88人
東京共済病院外科部長の馬場紀行先生を講師に迎えて、病理についての勉強会を開くのはVOL-Netとしては2回目です。前回は3年前でしたが、乳がんの治療法や予後因子についてもかなり変わってきているなーというのが実感です。

前回は、細胞のスライドを沢山見せていただき、グレードの説明や、ホルモンレセプターの測り方、判断の仕方などが中心でしたが、今回はザンクトガレン2005のコンセンサスを受け、新しいリスク分類と病理の関係についてお話いただきました。

まず、最近の状況として、乳がんは増えつつあるということ、治療は手術だけでなく、薬物療法が主役になりつつあるというお話がありました。乳がん検診についても、マンモグラフィの読影医が足りないということや、受診率が増えないという問題点の指摘があり、検診にお金をかけるよりも啓発に力を入れたほうが良いのではないかというご意見を伺いました。

病理については、まずリンパ節郭清とは何かというお話から始まり、かなり普及してきたセンチネルリンパ節生検のやり方についても写真を使って具体的な方法を教えていただきました。さらに、ザンクトガレンのコンセンサスの中で重要なリスク因子とされるホルモンレセプター、グレード、HER2遺伝子や、脈管浸潤について、その測定の仕方や、判断の仕方について、詳しいご説明がありました。
グレードは、管腔形成、核異型、細胞分裂のそれぞれのスコアの合計でランク付けするそうです。また、HER2はHER2タンパクが過剰発現しているかを見る方法と、HER2遺伝子が増幅しているかどうかを見る方法があるそうです。

その後、リスクに応じた補助治療のお話があり、内分泌療法、化学療法、ハーセプチン等についての概説がありました。

まとめとしては、
・乳癌は臨床病期より病理所見がより重要
・病理報告書の中には予後や治療に関する情報がたくさんある
・国際的な尺度で病理評価をすべきです
ということです。

後半は質問タイムで、参加申し込み時に頂いたご質問にいくつか答えていただいた後、会場からも個別のご質問をいただきました。「再発治療における病理検査の意義は?」というご質問に対しては、「がんの性質が変化している場合もあるので、再発の場合こそ病理が重要。可能な限り再発巣も生検などをやったほうが良い」というご回答でした。

今回は80人という定員でしたが、開催日の2週間前に定員に達するという盛況振りで、病理に対する関心の深さがうかがえました。内容的には、やや難しかったかなと思いましたが、終了後のアンケートでは、「理解が深まった」「詳しい説明が聞けて良かった」というご感想が多く、患者のレベルの高さを感じました。

終了後は、会場近くのお店貸切で、馬場先生も交えて懇親会を行い、こちらも30人のご参加があり、大盛況でした。

馬場 紀行  先生
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東京共済病院 外科部長(専門は乳がんの診断と治療)
略歴:東京大学医学部及び博士課程卒
都立広尾病院、癌研究会付属病院、東京大学医学部付属病院を経て、現在東京共済病院勤務
日本外科学会指導医、日本乳癌学会専門医、日本臨床細胞学会細胞診指導医、臨床腫瘍学会暫定指導医、日本医師会産業医、マンモグラフィ読影医(A)
所属学会:日本外科学会、日本臨床外科学会、日本癌治療学会、日本乳癌学会、日本内分泌外科学会、日本臨床細胞学会、日本乳癌検診学会、臨床腫瘍学会
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〜馬場先生からのメッセージ〜
 最新のリスク因子としてher2と血管浸潤が加わりました。またリスク分類も 変わりました。益々治療の選択が複雑化しています。また勉強し直すにはちょうどいい機会ですね。がんばりましょう。

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