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・ VOL-Netについて〜活動の記録〜
■実施日 2011年9月18日(日)午後2時〜4時半
■場所 お茶の水税経貸会議室
■テーマ 乳がん患者として知っておきたい放射線
〜放射線治療と放射線障害〜
■講師 浜松医療センター放射線治療科  飯島 光晴 先生
■参加者数 26人
9月18日(日)に、お茶の水税経貸会議室にて、浜松医療センター放射線治療科 飯島光晴先生を講師にお迎えして、テーマ勉強会「乳がん患者として知っておきたい放射線〜放射線治療と放射線障害〜」を実施しました。

放射線治療をテーマとした勉強会はVOL-Netとしては2回目ですが、今回は震災に伴う原発事故や放射性物質等の報道等で放射線への関心が高まっており、タイムリーなテーマとなりました。残暑きびしい中26人の方が参加されました。

内容は「放射線と放射能の違い」「放射線被ばくの種類」「放射線の効果」「乳がんの放射線治療」「放射線治療の副作用」「乳がん放射線治療最近の話題」などが取りあげられました。

3月に起きた原発事故でよく耳にした「シーベルト(Sv)」とは放射線による人体への影響の度合いを示す単位です。放射線被ばくのうち我々患者が診断、治療で受ける医療被ばくは、医療を受けたことによる利益が被ばくの不利益を上回っているため限度はないそうです。
放射線治療で使われる単位は「グレイ(Gy)」で、局所に照射される放射線の量(吸収線量)を示しています。
報道では「シーベルト」「ベクレル」「グレイ」の違いがわかりにくくて頭が混乱しましたが、今回のお話でよく整理できました。

放射線の種類には、現在最も多く用いられるリニアック(エックス線・電子線)、脳転移に使用するコバルト(ガンマ線)、大がかりな施設でまだ一般的でない粒子線(陽子線・重粒子線)があります。

乳がんの放射線治療は、温存手術後の術後補助療法として行われます。
放射線治療を加えることにより乳房内再発が約1/3に減る効果があるそうです。照射方法は、標準量で50Gy/25回/5週間(1日2Gy×25回)で必要に応じてしこりのあった場所に追加照射します。
また、骨転移や脳転移の緩和目的(症状を和らげる)としても用いられています。骨転移の疼痛緩和、麻痺改善、骨折予防効果および脳転移による症状の緩和、進行を抑える効果があるそうです。

副作用としては、放射線皮膚炎、軽い倦怠感、乳房痛、皮膚の乾燥かゆみなどがあげられましたが、どれもかなり個人差があるそうです。

最後に、放射線治療の最近の話題として、短期照射法や放射線治療施設の選び方について紹介されました。
欧米では、1回の照射量が多く照射期間が短くなってきているそうで、日本でもだんだん増えそうとのことです。
放射線治療施設の選び方としては、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)認定医、認定施設か、放射線治療の精度管理をする人材(医学物理士・放射線治療品質管理士)の有無がホームページに掲載されているか確認するといいそうです。

講義後休憩をはさみ、質疑応答が行われました。

原発事故でクローズアップされた放射線と私たちがん患者が受ける検査や治療がどう違うのか、放射線の基礎知識、治療法の効果等、今回の勉強会でよく理解できました。


<参加者の方々のアンケートから>

・放射線治療の概要を直接治療にあたっている先生から伺う事ができてよかった。乳がん治療全般についても最近の傾向なども伺え参考になった。
(患者本人 術後・乳がん診断後4年8ヶ月)

・とてもわかりやすかった。放射線治療後、1年経つが再認識できた事もあり、参加してよかったです。
(患者本人 術後1年5カ月)

・放射線についての知識を正確に理解できたことにより、今後の治療(CT・PETなど)に臨む気持ちに不安が減少しました。本日はありがとうございました。
(患者本人 術後・乳がん診断後3年4ヶ月)

・とても丁寧でわかりやすい勉強会でした。あらかじめ準備された質疑応答もわかりやすくてよかったです。
(患者本人 術後・乳がん診断後3年1ヶ月)

<講師の飯島光晴先生から>

先日の勉強会では、熱心に聞いていただいてありがとうございました。事前のアンケートの内容を拝見しても、今回の震災による原発事故の影響で、改めてご自身の放射線を使った診断、治療について心配されている方が多いのだと感じました。今回の勉強会で放射線や放射線治療について少しでも理解を深めていただけたら幸いです。

== 講師ご紹介 ==
 飯島 光晴(いいじま みつはる)先生
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専門分野
 放射線治療
資格等
 日本医学放射線学会専門医
 日本放射線腫瘍学会専門医
 浜松医科大学臨床准教授
 日本がん治療認定医機構 暫定教育医
略歴
 1989年3月 富山医科薬科大学医学部卒業
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〜飯島先生からのメッセージ〜
病気の診断・治療に使われる放射線の影響と原発事故の放射線の影響を同じ土俵で比べることにそもそも無理があります。一般の方に目にみえない放射線の影響をイメージしていただくにはやむを得ないかもしれませんが、放射線を使った診断・治療を受けた方々は逆に不安になってしまいます。放射線被ばくとは? 病気の診断・治療に用いられる放射線とその影響について一緒に勉強しましょう。

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