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・ VOL-Netについて〜活動の記録〜
■実施日 2011年11月27日(日)午後2時〜4時半
■場所 お茶の水税経貸会議室
■内容 メンバーズイベント「VOLVOL課外ゼミナール」
■講師 神奈川県立がんセンター 乳腺内分泌外科部長 清水 哲先生
今年度の「メンバーズイベント」は、VOL-Netのメディカル・サポーターであり、これまでに何度か講演をいただいている神奈川県立がんセンターの清水哲先生を講師にお迎えして、ざっくばらんなゼミナールを行いました。

参加者が個別に質問をして、先生がそれに回答するスタイルの勉強会は、VOL-Netとしては初めてだったのですが、質疑応答を繰り返していくうちに、昨今の乳がん治療をめぐる動きを一望できたように感じています。

筆者が手術を受けた頃からその名を聞いたことがある「ザンクトガレンの国際会議」は、2年に1度、術後の補助療法のガイドラインを決める為に行われています。そこで決まるコンセンサスは、ここ数年で大きく様変わりしました。
数年前までは、腫瘍径やリンパ節転移の有無、ホルモン受容体の発現の有無が治療法を選択する上での大きな因子でした。現在では、ホルモン受容体発現の有無の他には、Her2発現の有無、ki-67遺伝子発現の度合いなどが因子となっていて、筆者も改めて学ぶことになりました。
特にki-67については会場の関心も高く、その発現の意味するものについてきちんと確認することになりました。

また、今回の先生の言葉で印象に残ったことのひとつに、以下の話があります。それは、「以前は『ハイリスクの患者さんには長い期間の量の多い治療を、ローリスクの患者さんには少ない治療を』と考えられてきたが、その考えを切り替えていく必要があるのではないか。その人のがんに合ったタイプの治療をするということが大切。ホルモン療法が良く効くタイプであれば、化学療法をプラスするよりホルモン療法をある程度の期間しっかりする、化学療法が良く効くタイプには短い期間に化学療法をする、というようにシフトしていく必要がある」ということです。

そして、乳がんは短期決戦のように治療するのではなく、予後の長い生活習慣病として付き合っていくことの大切さを話されたことも印象に残りました。

その後、先生の話はがん拠点病院と地域医療連携の現状と問題点の話や、「再発進行乳がんの治療のガイドライン」を作ろうという動きがあるという話に移り、その為の第1回の国際会議がポルトガルのリスボンで開かれたことを、リスボンの観光風景(バスコ・ダ・ガマなど、世界史の授業を思い出す名前も出ました)も交えて説明してくださりました。
今年承認された新薬「エリブリン(商品名ハラヴェン)」についても触れられ(術後補助療法ではなく、進行再発乳がんに対しての適用)、晩秋の午後のひととき、まさに先生のお人柄が感じられた「ざっくばらん」な中にも密度の濃い会となったのではないかと思います。

<参加者の方々のアンケートから>

・最新の診断や情報が臨床現場でどのように適用されているのか、よくわかって興味深かったです。(患者本人 術後1年2ヶ月)

・先生のお話が大変勉強になりました。ひとりひとりに対して親身に考えて教えてくださり、信頼できる先生と思いました。ありがとうございました。(患者本人 術後2ヶ月)

・先生のお話は、参加者ごとに応じてくださるスタイルで、とても良かったと思います。この人数だからできたことだと思います。(患者本人 術後・乳がん診断後3年1ヶ月)

<講師の清水哲先生から>

山下先生の訃報が届いてまだ間もない11月27日、お茶の水で勉強会を開催しました。今回は“ざっくばらんな勉強会”という事で、会場にいらっしゃった会員の皆様の小さな(?)疑問に答えながら、最近の話題、考え方などをとりとめもなく話させて頂きました。
こじんまりとした良い会だったと思います。
山下先生のご冥福を祈りつつ。

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